top of page

学校うさぎの飼育環境|適正飼養を満たしにくい5つの理由

小学生とうさぎ
学校飼育うさぎ

学校飼育がうさぎの適正飼養の要件を満たしにくい理由

学校でうさぎを飼うことには、命の大切さを学ぶという教育的な目的があります。しかし、うさぎは8~12年以上生きることがあり、毎日の食事、運動、温度管理、健康観察、獣医療を必要とする動物です。

House Rabbit Societyは、うさぎを大人が責任を持って室内で飼育し、十分な生活空間と運動時間を確保することを推奨しています。ところが学校では、担当者の交代、休日や長期休暇、予算、獣医療、屋外飼育など、家庭とは異なる課題があります。

すべての学校が不適切に飼育しているわけではありません。しかし、うさぎの一生を通じて必要な環境を維持できるか、飼育を始める前に慎重に検討する必要があります。

HRSの推奨・譲渡基準学校飼育で起こりやすい課題

8~12年以上を見据え、大人が主な飼育責任を負う担任、学年、管理職が交代し、責任や情報の引き継ぎが難しい

広いサークルと、毎日4時間以上を目安とする運動時間授業や休校日の都合により、毎日の運動時間を確保しにくい

室内で家族の一員として飼育する屋外飼育では、猛暑、寒さ、悪天候、感染症、捕食動物などの危険がある

牧草を常時与え、新鮮な葉物野菜も毎日用意する週末や長期休暇にも、給餌、給水、清掃、健康観察を続ける体制が必要

うさぎに詳しい獣医師による定期健診と緊急時の診療予算、搬送担当、受診の判断、学校獣医師との連携が不明確になりやすい

1.8~12年以上の命を、誰が最後まで守るのか

適切なケアを受けたうさぎは、8~12年以上生きることがあります。HRSは、子どもではなく大人が主な飼育責任を負うことを譲渡条件としています。

学校では、児童は卒業し、教職員や管理職も異動します。そのため、「現在の担当者」だけでなく、うさぎの一生を通じて誰が責任を持つのかを決めなければなりません。

必要なのは、担当者の善意だけに頼らない仕組みです。日々の健康記録、食事、既往歴、通院先、緊急連絡先、休日の世話、災害時の対応を文書化し、担当者が交代しても確実に引き継げる体制が求められます。

その体制を長期間維持できない場合は、新たにうさぎを迎えないことも、命を守るための責任ある判断です。

2.十分な生活空間と毎日の運動を確保できるか

うさぎは、走る、跳ぶ、立ち上がる、体を伸ばす、探索するといった行動を必要とします。HRSは、目安として約120cm四方のエクササイズペンと、毎日4時間以上の自由運動を推奨しています。

小さなケージや飼育小屋だけでは、必要な運動量を確保できません。運動不足は身体だけでなく、退屈やストレスなど精神面にも影響します。

学校で飼育を続けるなら、授業がある日だけでなく、土日、祝日、夏休み、冬休みにも、安全な運動場所と見守る大人が必要です。児童が来ない日は運動させないという体制では、うさぎの健康を毎日守ることはできません。

3.屋外飼育では、暑さや外敵から守れない

HRSは、うさぎを室内で家族の一員として飼育することを譲渡条件としています。屋外では、猛暑や寒さ、急激な温度変化、台風、感染症、寄生虫、カラスや猫などの捕食動物、盗難や脱走といった危険があるためです。

日本獣医師会も、学校で飼育されているうさぎなどが、飼育環境によっては熱中症で死亡する可能性があると注意を呼びかけています。日陰や扇風機だけでは、猛暑日の安全を保証できません。

日本の夏に屋外飼育を続けることは、うさぎの生命に直結する問題です。飼育を続ける場合は、年間を通して温度を管理できる室内へ移し、夜間や休校日も含めて安全を確認できる体制を整える必要があります。

4.牧草、水、野菜と健康観察は毎日必要

HRSは、成長段階や健康状態に合った牧草を常時食べられるようにし、新鮮な葉物野菜も毎日与えることを推奨しています。水も常に清潔な状態で用意しなければなりません。

うさぎの世話に、学校の休日はありません。週末や長期休暇にも、給餌、給水、トイレの清掃、室温の確認、食欲や排せつの観察が必要です。

特にうさぎは体調不良を隠す傾向があり、「昨日は食べていた」という確認だけでは十分ではありません。牧草を食べているか、便の量や大きさに変化がないか、動き方や姿勢に異常がないかを、毎日同じ基準で確認する必要があります。

学校を閉める期間にも対応できる担当者が決まっていない場合、継続飼育は見直すべきです。

5.うさぎに詳しい獣医師と連携できているか

うさぎの診療には、犬や猫とは異なる知識と経験が必要です。HRSは、うさぎに詳しい獣医師による年1回の健康診断を推奨し、6歳以上のシニア期には年2回以上を目安としています。

学校では、体調不良に気づいた人、受診を決める人、病院へ運ぶ人、費用を承認する人が別々になることがあります。この判断の遅れは、病状の悪化につながります。

文部科学省の資料でも、学校と獣医師の緊密な連携体制や、必要な予算措置の重要性が示されています。

飼育を続けるなら、次の事項を事前に決めておく必要があります。

  • うさぎを診療できる動物病院

  • 夜間・休日の緊急受診先

  • 搬送する責任者

  • 診療費を支出する方法

  • 健康診断の時期

  • 投薬や術後ケアを担当する大人

  • 病気やけがを発見したときの連絡手順

これらが決まっていない状態で、子どもたちだけに世話を任せることはできません。

猛暑の屋外飼育から、24時間冷房の室内飼育へ

2026年、東京都内の小学校で、うさぎが猛暑のなか屋外で飼育されている問題が広く発信されました。この事例はYahoo!ニュースでも報じられ、学校はその後、2匹のうさぎを24時間冷房の室内へ移したことを公表しました。

この結果は、飼育環境について声を上げることが、うさぎの命を守る具体的な改善につながり得ることを示しています。

一方で、室内へ移すことだけで問題がすべて解決するわけではありません。十分な運動スペース、毎日の健康観察、適切な食事、獣医療、休日の世話まで含めて、継続的に改善する必要があります。

学校・教育委員会・保護者にできること

学校うさぎの環境に不安を感じたときは、感情的に非難するのではなく、確認できる事実と改善案を整理して伝えることが重要です。

1.現在の飼育状況を確認する

  • 室内か屋外か

  • 夏と冬の温度管理

  • 毎日の食事と給水

  • 土日・祝日・長期休暇の担当者

  • 運動時間と生活スペース

  • 健康診断と通院先

  • 避妊・去勢の有無

  • 災害時の避難計画

  • 最終的な飼育責任者

写真や記録を残す場合は、不法侵入や児童・教職員の個人情報の公開を避け、確認日と客観的な状況を記録します。

2.学校へ書面で改善を求める

まず校長または飼育担当者に、確認したい点と改善案を文書で郵送かFAXで伝えます。特に緊急性が高い場合は、室内への移動、冷暖房、給水、獣医師による診察を具体的に求めます。

3.教育委員会や学校獣医師へ相談する

学校だけで解決できない場合は、教育委員会、学校獣医師、地域の獣医師会へ相談します。命に関わる状態やネグレクトが疑われる場合は、自治体の動物愛護担当部署にも状況を伝えます。

4.飼育継続が難しい場合は、適切な家庭へつなぐ

必要な環境や予算、人員を確保できない場合は、新たな学校飼育を行わず、現在いるうさぎについても、終生飼養できる里親や適切な保護団体への譲渡を検討します。

譲渡は、単に「引き取り手を探す」ことではありません。健康状態を確認し、必要な医療を受けさせたうえで、室内飼育、十分な生活空間、終生飼養などの条件を確認することが必要です。

よくある質問

学校でうさぎを飼うことは虐待ですか?

学校で飼育しているという理由だけで、直ちに虐待と判断されるわけではありません。しかし、十分な餌や水を与えない、病気やけがを治療せずに放置する、著しく不適切な環境で衰弱させるといった行為は、ネグレクトを含む動物虐待に該当する可能性があります。

環境省は、必要な世話を怠ること、治療せずに放置すること、十分な餌や水を与えないことも虐待に含まれると説明しています。

虐待に当たるかどうかは、個別の状況に基づいて関係機関が判断します。命に関わる危険がある場合は、学校だけでなく、教育委員会、自治体の動物愛護担当部署、獣医師などへ速やかに相談してください。

学校飼育をやめてもらうには、どう働きかければよいですか?

まず、温度、食事、生活スペース、休日の世話、獣医療など、現在の飼育状況を確認します。そのうえで、「やめてほしい」という要望だけではなく、室内飼育への移行、獣医師との連携、または終生飼養できる家庭への譲渡など、具体的な改善案を書面で提出します。

学校で対応されない場合は、教育委員会や学校獣医師、地域の獣医師会へ相談します。すでにいるうさぎを行き場のない状態にしないよう、飼育廃止と同時に安全な移行計画を立てることが重要です。

週末や長期休暇の世話は、誰がするべきですか?

最終的な責任は、児童ではなく学校を管理する大人が負うべきです。学校は、土日、祝日、夏休み、冬休み、年末年始にも、担当する大人を明確に決める必要があります。

担当者は、餌や水を補充するだけでなく、食欲、便、尿、動き、呼吸、室温を確認し、異常があれば獣医師へ連絡できなければなりません。特定の教職員や地域ボランティアの善意だけに依存する体制では、長期的な継続が困難です。

学校うさぎは屋外でも飼えますか?

BunnyCare JPは、うさぎの屋外での常設飼育を推奨しません。屋外では、猛暑、寒さ、急激な温度変化、感染症、寄生虫、捕食動物、脱走などの危険を避けることが難しいためです。

HRSも、譲渡したうさぎについて室内飼育を条件とし、屋外での運動も推奨していません。学校で飼育を続ける場合は、冷暖房のある室内で、安全な生活空間と運動時間を確保する必要があります。

関連ページ

  • うさぎの避妊・去勢が必要な理由

  • うさぎのケージフリー・サークル飼育

  • うさぎの食事と牧草

  • うさぎに詳しい動物病院の探し方

  • 学校うさぎを里親へつなぐ方法

  • 学校うさぎの夏休みと熱中症対策

参考資料

  • House Rabbit Society「How to Adopt」
    https://houserabbit.org/how-to-adopt

  • House Rabbit Society「Healthy Rabbit Diet」
    https://houserabbit.org/diet

  • House Rabbit Society「The Importance of a Rabbit-Savvy Veterinarian」

  • 文部科学省「学校における望ましい動物飼育のあり方」

  • 文部科学省「学校における動物飼育について」

  • 日本獣医師会「学校の動物たちの熱中症にご注意ください」

  • 環境省「虐待や遺棄の禁止」

​お問い合わせ

bottom of page