日本のうさぎ飼育を、動物福祉の視点からより良いものへ

日本と米国で培った30年の経験をもとに、家庭・学校・大久野島のうさぎたちの健康と福祉の向上に取り組んでいます。
BunnyCare JP
BunnyCare JPは、1988年に設立されたHouse Rabbit SocietyのInternational Partner(国際提携パートナー)として、HRS公式サイトに掲載されています。
学校うさぎとは? 学校飼育の現状と問題点、見直しが求められる理由
公開日:2026年8月7日
学校飼育ウサギとは?学校でうさぎを飼う理由と現状
学校うさぎとは、小学校や中学校などで飼育されているうさぎのことです。ニワトリやモルモットなどとともに「学校飼育」の一環として長年親しまれ、子ど もたちが命の大切さや思いやり、責任感を学ぶことを目的に取り入れられてきました。
しかし、学校を取り巻く環境は昔とは大きく変わっています。教員の負担が増え、休日や長期休暇の管理が課題となる中、近年は猛暑の影響も深刻です。そのため、「学校で動物を飼うことは本当に動物のためになっているのか」と疑問を持つ人も増えています。
ここでは、学校うさぎが教育に取り入れられた理由と、現在の学校飼育が抱える課題について見ていきます。



学校うさぎはかわいそう?学校飼育で起きてい る問題
学校うさぎは、命の大切さや思いやりを学ぶ教育活動として長年続けられてきました。しかし近年は、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から、学校飼育のあり方を見直すべきだという声が増えています。ここでは、多くの学校が共通して抱えている主な問題を紹介します。
学校うさぎの健康管理と医療放置|健康診断・病気 未避妊去勢の問題
学校飼育の問題点として見過ごせないのが、学校うさぎの健康管理です。定期的な健康診断を受けられず、病気や体調不良が放置されてしまうことがあります。
ウサギは不調を隠す習性があるため、食欲や排せつ量などの小さな変化を見逃すと、病気が進行するおそれがあります。しかし学校では、世話をする児童や教職員が日によって変わるため、異変に誰も気づかないこともあります。
また、担当する獣医師が犬や猫を中心に診療しており、ウサギに詳しいとは限りません。ウサギ特有の病気を早期発見するには、専門知識のある獣医師による定期的な健康診断が必要です。
避妊・去勢手術も重要です。望まない繁殖を防ぐだけでなく、特にメスでは子宮がん、オスは精巣ガンの予防につながります。しかし、予算を理由に手術を行わない学校もあります。必要な健康診断や治療、避妊・去勢を受けさせられないのであれば、学校飼育そのものを見直す必要があります。
休日・長期休暇・災害時の管理
うさぎは土日や祝日、夏休みや冬休みであっても毎日食事や水、健康管理が必要です。しかし学校が休みになると、教職員や児童は登校しないため、誰が継続して世話をするのかが大きな課題となります。
学校によっては当番制や地域ボランティアが支えていますが、お盆や年末年始など学校が約1週間から10日ほど閉まる期間は、十分な管理が難しい場合もあります。
さらに、地震や台風、豪雨などの災害が発生した際には、学校に取り残された動物を誰が避難させ、世話をするのかという問題もあります。学校飼育を続けるのであれば、平常時だけでなく、休日や災害時まで含めた飼育体制を整えることが欠かせません。



学校飼育は見直すべき?未来の命の教育
学校で動物を飼育する目的は、命を大切にする心や思いやりを育てることだと考えられてきました。しかし、教育を取り巻く環境や社会の価値観は大きく変化しています。
教職員の負担は年々増え、地球温暖化による猛暑も深刻になりました。ウサギは一般的に16~24℃程度が快適とされる動物ですが、日本では38℃を超える猛暑日が珍しくなくなり、屋外の飼育小屋で安全な環境を維持することは以前より難しくなっています。
また、動物福祉への関心が高まる中で、「教育のために動物を学校で飼うこと」そのものを見直す動きも広がっています。大切なのは、学校で飼い続けることではなく、動物にとっても子どもたちにとってもより良い学びの形を考えることではないでしょうか。



学校飼育の見直しと新しい命の教育 海外では学校飼育はどうなっている?
海外では、日本のように学校がウサギなどの動物を一年を通して常設飼育する例は多くありません。近年は動物福祉への関心が高まり、「学校で飼うこと」よりも、動物に負担をかけない教育方法へ移行する動きが広がっています。
例えば、動物保護施設や保護うさぎのシェルターを訪問し、専門スタッフから動物福祉や命の大切さについて学ぶ授業を実施する学校があります。また、動物園や自然保護施設と連携した体験学習のほか、映像やデジタル展示、オンライン教材を活用し、動物の行動や生態を学ぶ教育も普及しています。
こうした取り組みは、動物に過度なストレスや負担を与えることなく、子どもたちが命の尊さや、人と動物が共に幸せに暮らすために何が必要かを学ぶ機会となっています。
日本でも、教職員の負担増加や地球温暖化による猛暑、動物福祉への意識の高まりを背景に、学校飼育を見直す必要性が指摘されるようになりました。命の教育は、学校で動物を飼育しなければ実現できないものではありません。
例えば、学校でウサギを飼育する代わりに、「動物愛護教育デー」を設けることも一つの方法です。保護うさぎや教育活動に慣れたうさぎが短時間だけ学校を訪れ、専門家から適切な接し方や動物福祉について学んだ後、それぞれの飼育環境へ戻る仕組みであれば、子どもたちは実際に動物と触れ合いながら学ぶことができ、ウサギへの負担も大幅に減らせます。
また、学校飼育うさぎの廃止を求める声は全国で広がっています。すでに学校で飼育されているうさぎについては、新たな飼育先を安易に探すのではなく、終生にわたり適切な飼養ができる里親や保護団体へ引き継ぐことが重要です。
学校飼育を見直したいと考える場合は、地域の学校や教育委員会へ意見や要望を伝えることもできます。一人ひとりの声は小さくても、動物福祉に配慮した教育環境について考えるきっかけとなり、未来の命の教育をより良いものへ変えていく力になります。
学校を卒業し里親に引き取られ家族として生活する元学校飼育うさぎ




